とんでもなく薄くて軽いこの時計は、何も新しく突飛なメカニズムではありません。
実に伝統的な設計を踏襲して、見事に完成したブルガリの実用性に富むコンプリケーションです。
自動巻クロノグラフが誕生して50周年の今年、それを祝福するかのように発表された、類まれなる逸品と言える傑作です。
軽く、薄く、そしてスキンタッチとも言える肌触り。その上、自動巻のクロノグラフ。
更にGMTまで盛り込まれ、そのファンクションボタンの節度ある操作性と感触は、いかにも高級時計らしい心地良さをも有します。
水平クラッチとレバー中心のメカニズムは伝統的なスイス時計製造の基礎を成すもので、薄くする為と、美しいムーブメントをさらけ出すために採用された自動巻上げのペリフェラルローターは、ムーブメントとほぼ水平に設置されています。
チタン製の時計本体と一体化したブレスレットはしなやかに手首に巻き付き、装着していることを忘れる位の快適なものとなるでしょう。
実に端正な風貌を持つブルガリのオクトシリーズ。
そのデザイン起源は古代ローマ建築から鬼才 ジェラルド・ジェンタの想起にまでたどりつきます。
現在のデザイナー、ファブリッツォ氏による 徹底的にムダを除いたダイヤルデザイン。
左側に配されたGMTのプッシュボタンにより、外観が更に整った印象になりました。
ブルガリのメンズコレクションは、むやみにデザイン、アイテムを増やさず、このオクトシリーズを中心にプログレッシブな展開を続けています。
ブルガリ オクト フィニッシモ クロノグラフGMTオートマティック
ケース径:42㎜、ケース厚:6.9㎜、ムーブメント厚:3.3㎜
自動巻、37石、2万8800振動/時パワーリザーブ:約55時間、チタニウム
防水:3気圧、価格:192万円(税抜)
時計専門誌「Chronos」9月号の表紙を飾るこのブルガリ オクト フィニッシモ クロノグラフは、時計界の栄誉とされる今年度のジュネーブグランプリ「GPHG2019」(11月7日発表)のクロノグラフ部門の筆頭候補であることに間違いないでしょう。