Patek Philippe Floorブログ

自動巻ローターの巻き上げについて(前編)

パテック フィリップの自動巻のローターは、両巻きと片巻きのどちらかと言えば、片巻きです。
更に右巻きか左巻きかと言えば、左巻きです。

 

 

 

 

 

 

正確に言えば、自動巻のミニットリピータームーブメントのR27系以外は全て左巻きで、R27系は例外的に右巻きになります。

今でこそごく普通に使われているローターによる自動巻機構ですが、これって時計史上かなり凄い発明だったと思います。装着している腕の動きをエネルギーの蓄積に転換するのですから、考えてみればこれほどエコなことはありません。

このローターによる自動巻機構ですが、ローターがどちらか一方向に動いた時にだけ巻き上がる片巻き式と左右どちらの方向に動いても巻き上がる両巻き式に大別できます。

例えば、パテック フィリップのセンターローターの自動巻ムーブメントCal.324を使っている時計を手に持って少し降るとグルグルと勢いよく回っている感触が伝わってきます。それはシースルーバックから見ると実際によく回っています。

パテック フィリップの場合は、右に回転する時にだけ、勢いよく回ります。何故なら空回りをしているからです。

右に回ろうとする時はゼンマイの巻き上げに負荷が掛かりますので、それほど勢いよく回りません。

これが片巻き式の自動巻です。

一方、両巻き式はローターがどちらの方向に回転する時も巻き上げの負荷が掛かりますので、それほど勢いよく回りません。

 

 

 

 

 

 

(こちらに紹介しているモデルは左巻きの自動巻モデルになります。)

 

 

 

 

このため、パテック フィリップの自動巻腕時計(ミニットリピーターモデルを除く)を市販のオートワインダーに掛ける場合は時計を正面に見て左回り(反時計回り)に回る設定にして使ってください。

そうしないと巻き上げは正常にされておらず、巻き上げ量が徐々に減り、最終的には止まってしまう可能性があります。

ちなみにオートワインダーは『自動巻巻き上げ機』と言うよりも『巻き上げ状態維持機』と解釈する方が正確だと思います。ゼロからどんどん巻き上げる物ではありませんので、ある程度ゼンマイが巻けている状態でセットすることをお勧めします。

話が少し逸れてしまい長くなってしまいましたので、続きはあらためて。
次回 後編でお話しさせてください。

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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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