こんにちは。
世の中はもうクリスマスムードですね。
あげる人もいないのにプレゼントを準備している坂本です。
さて、皆様は良い時計持ってますか?
。。。と言いますか、「良い」時計とはなんでしょうか。
デザイン、価格、歴史、装着感、希少性、、
様々な角度から人それぞれの良い時計と言えるものが沢山あります。
今回は時計のムーブメントの仕上げについての話です。
ムーブメントの仕上げが「良い」時計は何を基準にしているのでしょうか。
皆様の目に見える一部だけですが、それをご紹介いたします。
コード・ド・ジュネーブ
一般的にムーブメントの受けの見える部分だけに施されるストライプ模様の装飾。
直線模様、さざ波模様とも呼ばれます。
これはほとんどのメーカーが施している装飾でよく聞く装飾ではないでしょうか。
大きなメーカーではNC旋盤や、半自動化された機械で施すこともできますが
直線仕上げ用定規や、旋盤を用いて手動で施すメーカーもあります。
ペルラージュ
通常は受け、地板、穴の底面に施されるうろこ状の模様です。
ホロホロチョウの目、ポワンティヤージュ、ブッシュナージュなんかとも呼ばれます。
現在は専用の機械で施します。
研磨パッドを付けた回転真を加工品に押し当てて模様をつけていきます。
施す模様の深さや、間隔によってその表情は様々です。
ソレイユ仕上げ(サンレイ装飾)
同じ点から太陽のように線が広がる模様です。
一般的にスチール製の車に施す仕上げになります。
加工品と反対方向からつり鐘型グラインダーを回しながら、中心点から
直線の傷をつけていきます。
サーキュラージュ(輪かけ模様)
ムーブメントから見える歯車に一般的に施される装飾です。
スレート棒や、磨き棒を回転する加工品に押し当て照りのある細かい傷をつけていきます。
コリマソナージュ(らせん模様)
一般的に角穴車や、ローター、香箱の表裏に施されるらせん状の装飾です。
らせんが出るように加工品の表面にグラインダーを押し当てて傷をつけていきます。
面取りについて
部品の表面と側面にあるエッジを取り除き、その斜面を磨く装飾です。
地板や受け、様々なパーツに施され全体の美観に大きく関わります。
傾面は鏡面仕上げとし、45度が一般的で、これには防錆効果もあります。
また、ポリ・ノワールやブラックポリッシュと呼ばれる鏡面仕上げが
最良とされています。
専門の職人が、磨き棒、修正へら、砥石、小ろくろを用い、
パーツによっては10時間もの時間を使い仕上げます。
・また、面取りには注意して見るべき、以下のような仕上げ箇所があります。
コワン・アロンディ(丸仕上げ)
曲線で構成される面で、
後述するコワン・ソルタン、コワン・レントランに比べ難易度は高くありませんが、
量産される直線的なムーブメントにはない、光のコントラストを生み出します。
コワン・ソルタン
2つの傾面が交差し、一つの角を作っている箇所になります。
そこに丸みを帯びていることは許されず、鋭角であるほど美しいとされています。
当然、美しい角を作るには経験を積んだ職人の技を必要とします。
コワン・レントラン(戻り角)
これは最も難易度の高い仕上げ箇所です。
2つの傾面が内側で落ち合う角で、落ち合う点は1本の線が
できなければいけません。
様々なムーブメントを見ていますが、この戻り角を組み込んだ時計は
そう多くありません。美しい戻り角を持つムーブメントは最高級の証と
いっても過言ではありません。
・穴周りの仕上げ(面取り)については以下のようなものがあります。
クリズュール(浅堀り)
受けや地板の削られた ネジ、カナ、留めピンなどがある箇所に手で施されます。
ボールカッターや、円錐カッター、ローターカッターを用いて施されます。
デクーヴェルト(露天堀り)
水滴、石臼などとも。
ルビーの外周を深く彫り、美しく磨くことで
そのルビーの美しさを更に際立たせるために施される装飾です。
浅堀りからさらに深く彫り、ダイヤカッターや、木棒を用いて鏡面に仕上げていきます。
知ってみると奥深い時計の仕上げ。
まだまだ目に触れることのない仕上げや、装飾技術がたくさんあります。
一度じっくりムーブメントを眺めてみてはいかがでしょうか。