長く時計を扱う仕事をしている中で、
最も印象に残っている腕時計をご紹介いたします。
パテック フィリップ Ref.6300G グランドマスター・チャイム。
同社の腕時計史上最も複雑なタイムピースで、
1366個ものパーツによって構成される現行モデルの最高峰。
手仕上げによるクル・ド・パリ装飾が施されたブルー・オパーリンダイヤルは
極めて視認性が高く、整然と配された複雑機構は
それぞれが手作業における真骨頂と言えるものです。
確実性高く駆動する5つのチャイミング機構(グランドソヌリ、プティットソヌリ、ミニット・リピーター、チャイムによるアラーム、デイトリピーター)は素晴らしい音色を奏でます。
複雑時計の製造において、常に最先端を突き進むパテック フィリップには、
このRef.6300の起源となる歴史的名作が数多くあります。
「グレーブス・ウォッチ」
今なお語り継がれる伝説の名作で、1930年代に
アメリカの著名な銀行家ヘンリー・グレーブス・ジュニアの依頼により
約5年の歳月をかけて製作されました。
24の複雑機構を備え、当時における時計史上では最も複雑な時計でした。
「キャリバー 89」
1989年 創業150周年を記念して、グレーブス・ウォッチを上回る
33の複雑機構を備えたこの時計を発表し、パテック フィリップは
更なる技術的進化を世界に知らしめました。
人類の英知の結晶といっても過言ではない究極のタイムピースです。
「5175R-001」
Ref.6300の起源であり、初めてグランドソヌリを搭載した腕時計。
2014年 創業175周年を記念して製作・発表された中で最も話題となったタイムピース。
わずか7本のみ製作され、そのうち1本はジュネーブの
パテック フィリップ・ミュージアムに展示されています。
5175R-001のムーブメント部品総数もRef.6300と同じ1366個。
細部まで彫金装飾されたユニークなリバーシブルケースの時計本体は、
グランドマスター・チャイム用に開発され、
ケース(外装)だけでも驚くなかれ214個以上のパーツで形成されています。
どちらの面からも、視覚と聴覚で究極の複雑機構を堪能することができます。
「6300A-010」
2019年にジュネーブで開催されたチャリティーイベント〝オンリーウォッチ″に
出展したステンレス製のオンリーピース Ref.6300Aは、
3100万スイスフラン(約35億円)で落札され、史上最も高価な腕時計として話題になりました。
価格的な話題性よりも、チャリティーを通じて時計が文化的に貢献するという
非常に価値のある出来事だったと思います。
このように、Ref.6300の系譜にあるモデルはそれぞれに逸話があり、
常にその時代の究極であり続けてきました。
5つのチャイミング機構を持つタイムピース。その澄んだ音色は
歴史的な深みをも含有した手造りによる芸術品とも言えるもので
現代において最高峰の座にあり続けると思います。
・18KWGケース47.7㎜
・手巻ムーブメント
(キャリバー 300 GS AL 36-750 QIS FUS IRM)
・グランドソヌリ、プティソヌリ、ミニット・リピーター
(グランドソヌリ:正時に低音、15分ごとに低・高低音で時刻を知らせる
プティットソヌリ:正時の低音は同じ、15分ごとに高低音でクォーターの数のみが鳴る
ミニット・リピーター:プッシュボタン、レバーの操作により高音、低音、両方の組み合わせの3種類の音で現在の時刻を知らせる)
・チャイムモード表示(サイレント、グランドソヌリ、プティットソヌリ)
・チャイムによるアラーム機能
・デイトリピーター(日付を音で知らせます)
・瞬時日送り式永久カレンダー/時回り輪列パワーリザーブ表示
・チャイム機構パワーリザーブ表示
・チャイム機構隔(ON/OFF)表示
・第2タイムゾーン昼夜表示
・曜日表示、月表示・日付表示(両面)・閏年サイクル
・4桁の年表示・24時間時・分表示
・リュウズの位置表示(巻上げR、アラーム時刻設定A、時刻合わせH)・ムーンフェイズ・部品総数:1366
・ムーブメント(時回り輪列)の連続駆動可能時間:72時間
・チャイム機構の連続駆動可能時間:30時間
・テンプ:ジャイロマックス
・振動数:25,200振動(片道)/時(3.5Hz)・Spiromax®
Patek Philippe Collection
→https://www.kamine.co.jp/watch/patek-philippe/mens/
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カミネトアロード店 2F パテック フィリップ・フロア
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