KAMINE 社長ブログ

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2025年1月17日 午前5時46分。あの日を生涯 忘れない。

2025年1月17日 午前5時46分
震災から30年
あの日を生涯 忘れない。


阪神淡路大震災から30年が経ちました。
あの体験を語り継ぐことの大切さを改めて感じ
当時のことをほんの少しですが お伝えできればと思います。


当時のカミネは、トアロード本店とさんプラザの2店舗。
大震災発生後しばらくは先代の父親とともに自宅から店まで
17-8kmの距離を自転車で通う日々でした。

今だから話せますが、発生直後の道中 火事で燃えながら
廃墟に変わろうとする長田区の光景を横目にみて、
涙が溢れ 止まらなかったことを思い出します。
初めて経験する込み上げる気持ちでいた。


写真は当時の全壊したトアロード本店。
扉も暖房もない厳寒の吹きさらしの店頭は埃まみれ
その店先に立ち、三宮神社の上 寒風で舞う雪を見た時
このままずっと春は来ないのではと思いました。

何とかしなければという気持ちから
全壊した店の軒先で戸板の上に白いシーツを敷き、
目覚まし時計を大量に仕入れ 一個1000円。
販売のつもりが、大半は被災者の方々に無料で配りました。
商売しなければという切迫した思いが 人助けの心に変化していきました。


すぐ近くの大丸神戸店も全壊で周辺は真っ暗
そんな最中 少しずつ当時のお得意がお越しになられ
色々なお話しをすることが出来ました。


西宮まで自転車で商品を届けたこともありました。
荒れた道のりは危険で随分時間がかかりました。
それはパテックフィリップの時計でした。



5時46分で時を止めてしまった、当時の回転時計。
震災後の今も、この時計は 倉庫で保管されています。
過去、朝日新聞が取材に来られました。

震災以降カミネにとって本店のこの位置に
壁面時計を再び掲げることはひとつの大きな夢でした。


そして2018年の1月17日 偶然にもこの日に工事が行われ
新しい壁面時計がトアロード本店のその場所に誕生しました。

その時計は世代を超えて愛され続ける「パテック フィリップ」のもので
今 周辺のランドマークになって時を刻んでいます。



震災から30年
神戸は直後から世界中 日本中からの支援を受けて
徐々に徐々に復興していきました。



復興はまだまだ完全ではありませんが、
その頃からの助け合いの「心」を大切に
これからも美しい街づくりに努力していきたいと思っています。

あの後 起きた東日本大震災 熊本地震そして昨年の能登半島地震
つい先日は宮崎…
次々と起きる震災大災害で被災された方に心からお見舞い申し上げます。

「震災を語り継ぐこと」 そのことが「備えあれば憂いなし」に繋がっていく事を切に祈って…。

 

スイス ジュネーブで親子二代に亘って続く高級機械式時計作りマイクロメゾン(小規模ファクトリー)“ローラン・フェリエ”

スイス ジュネーブで親子二代に亘って続く高級機械式時計作りマイクロメゾン(小規模ファクトリー)
“ローラン・フェリエ”創業者のローラン・フェリエ氏と息子のクリスチャン・フェリエ氏
二人共、生粋の時計エンジニアです。

昨年オープンしたカミネ エスパス店にはローラン・フェリエのオフィシャルコーナーが完成しました。
それを記念して、スイス本社からクリスチャン・フェリエ氏を招いてトークショーを開催。
大勢の時計好事家の皆様にお越し頂いて、質疑応答などホットな一日となりました。

クリスチャン・フェリエ氏 47歳
今や世界的に注目されるブランドとなったローラン・フェリエについて彼の話しをゆっくり聞いてみました。

クリスチャン氏は、かつて ジュネーブでロジェ・デュブイが創業した頃、創業者の一人でクリエイターとして天才とも言われたカルロス・ディアス氏とパテック フィリップ出身の高名な時計師 ロジェ・デュブイ氏に数年間師事しました。
その後、父ローラン・フェリエ氏と一緒に仕事をすることとなった彼は、パテック フィリップでの実務経験が豊かな父から 時計作りの根本と細部に亘る薫陶を受ける毎日を送ります。そこで ローラン・フェリエ社の立ち上げ時からのウォッチメイキングを受け持ったファブリック デュタンの高名な時計師 ミシェル・ナバス氏やエンリコ・バルバシーニ氏らとも仕事を共にしました。

ここまで歩んできた彼のその得難い程 稀有な経歴から(英才教育とも言えるでしょう)生み出されるローラン・フェリエの時計のひとつひとつが如何に素晴らしいのかを物語っていると思います。

 

ローラン・フェリエの 妥協を許さない時計製造のプロセスは最高のサプライヤーから供給されるパーツで構成され、最先端の一端をすくい取るようなもののみを活用して文字盤、針、外装の下請けのコネクションで時計製造分野の頂点を極めます。

一旦完成したムーブメントはTOPクラスの職人たちによって懇切丁寧な二度組みまで行った上、自社アトリエで完成されます。それは年間100本にも満たない僅かな総生産数で、当然 1本あたり高価なものとなりますが、その分、究極のタイムピースを手にするとも言えるのだと思います。

(注:写真は一部 “Watch Media Online“より掲出させて頂きました)

 

ローラン・フェリエはスイス時計産業で最も栄誉とされるジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ GPHG を過去4度も受賞した実績を持ちます。

 

それでは、ローラン・フェリエの逸品の数々をご紹介いたします。

クラシック ダブルバランススプリング トゥールビヨン

手巻き、振動数:21,600振動/時(3Hz)
パワーリザーブ80時間、スイスレバー脱進機
ホワイト グランフーエナメルダイヤル、18Kイエローゴールド
ケース径:41.0mm,ケース厚:12.5mm
防水性:30m防水
オーダー可能 ¥32,670,000(税込)

ローラン・フェリエはブレゲの時代に懐中時計から生まれたトゥールビヨン製造の原則にのっとり、トゥールビヨン脱進機は全て表からは見えません。クラシック ダブルバランススプリング トゥールビヨンの凄いムーブメントはケースバックから堪能出来ます。

 

この写真はスクエアマイクロローター のケースバック
ナチュラル脱進機を搭載しています。

ローラン・フェリエの中でも代表的な機構の一つであるナチュラル脱進機は、世界でもごく少数の限られたブランドしか手を出すことができない複雑機構です。
この機構はスイスの時計学校では教わることがない独自開発技術であるため、組み立てができる技術者は非常に少ないと言われています。

 

そのような難解な機構になぜ挑戦したのか。
多大な人件費や開発コストがかかることは目に見えていますが、クリスチャン氏はこう答えました。

 

「ナチュラル脱進機は天才時計師ブレゲが開発した歴史ある機構だからこそチャレンジしたのです。
父はブレゲを常に尊敬しており、それゆえ伝統的な時計作りを志してきました。」
時計師としての想いや野望が見え隠れした瞬間でした。
腕時計として極めて高度な一級品。
そこにはローラン・フェリエならではの時計作りの哲学があり、だからこそ他社には真似ができない機構を有する
時計を完成させられるということを改めて実感しました。

 

一昨年 発表された話題作。
この時計が生まれた逸話は数多く、とても興味深いものです。
ローラン・フェリエ スポーツオート 自動巻

振動数:28,800振動/時(4Hz)、パワーリザーブ72時間
スイスレバー脱進機、ブルーグラデーション オパラインダイヤル
グレード5チタニウム、ケース径:41.5mm,ケース厚12.7mm
防水性:120m、オーダー可能 ¥8,712,000(税込)

 

ローラン・フェリエ クラシックオリジン ホワイト 手巻き

振動数:21,600振動/時(3Hz)、パワーリザーブ80時間
スイスレバー脱進機、シルバーホワイト オパラインダイヤル
グレード5チタニウム、ケース径:40.0mm,ケース厚:11.1mm
防水性:30m防水、オーダー可能 ¥5,995,000(税込)

 

ローラン・フェリエ クラシックオリジン ブルー 手巻き

振動数:21,600振動/時(3Hz)、パワーリザーブ80時間
スイスレバー脱進機、グラデーションブルー オパラインダイヤル
グレード5チタニウム、ケース径:40.0mm,ケース厚:11.1mm
防水性:30m防水、オーダー可能 ¥5,995,000 (税込)

 

トークショーではローラン・フェリエアフターサービスについても話してくれました。

現在も少量生産を維持するローラン・フェリエでは、実際に組み立てをした技術者が、責任を持ってオーバーホールを行っています。

 

技術者一人一人の日々の作業は非常に丁寧かつシンプルな工程によって行われており、先々のメンテナンスにおいても継承を睨んだものである事は明らかで、
世代を渡って引き継ぐことができるという腕時計の本質的な魅力の一つを置き去りにしないところも、このブランドが評価されている理由だと思います。

 

トークショー後は 皆様と、クリスチャン・フェリエ氏やマネージャー・ロバート氏と通訳を交えて、直接色々お話し頂きました。

世界で一番 時計を見る眼が厳しいとされる日本のエンドユーザーの方々と 実に貴重なお話しが出来たと、クリスチャン・フェリエ氏は大感激でした。

 

トークショーにご来場いただいたお客様の中に、思い出深い時計を着用して参加頂いたお客様がおられました。

2016年に、カミネ創業110周年を記念して数種類製作した内の1点で、グランフ―エナメルガレ マイクロローターです。
カミネ110thモデルは全て40㎜ケースでしたが、実はローラン・フェリエ氏に頼み込んで特別に39㎜で製作したワンオフモデルが存在したのです。

 

1870年代の懐中時計から着想を得た文字板デザインは、39㎜を更に小顔のイメージにするためインデックスを内に寄せ、印象的な配色に加え、GRAND FEU EMAIL の記載等、拘り抜いて製作しました。

 

ローラン・フェリエがまだ名も知れぬ頃からその実力に惚れ込んで製作した記念モデルを 永きに亘り ご愛用いただき、お客様、ローラン・フェリエ、カミネの歴史がクロスオーバーする感慨深い場面となりました。
後日 番外編で LF×Kamine 110th Anniversaryについてお伝え致します。

 

閉店後の打ち上げはクリスチャンの大好きな和食ディナーで・・・
彼の趣味は本格的なルアーフィッシングで、ほぼ毎週末 ジュウ湖畔やその付近の渓流で釣りを楽しむとか。(道具に対する拘りはすごい・・・)

 

ローラン・フェリエ社のヘッドマネージャーのRobert Bailey氏を加えて3ショット。

 

クリスチャン・フェリエ氏の腕にはダブルバランススプリングのトゥールビヨンが・・・。

 

ローラン・フェリエというブランドとその背景にあるクリスチャン・フェリエという人の存在。
時計人として彼とブランドのこれからの将来は、益々楽しみになってきた一日でした。
ご来場の皆様、有難うございました。

L’espace de kamine  ➡ https://www.kamine.co.jp/shop/lespace/

 

ローラン・フェリエ エコール・アニュアルカレンダー

 

“LAURENT FERRIER” ローラン・フェリエというブランドをご存知でしょうか?
ローラン・フェリエは、パテック フィリップで37年間務めた経歴を持つ時計製造のエキスパートローラン・フェリエ氏とその息子によって創設された独立系メゾン。

 

ローラン・フェリエカミネが110周年を迎えた際に特別なアニバーサリーモデルの製作をお願いしました。(現在は完売)

 

ローラン・フェリエ  ガレ・マイクロローター

自動巻、ケース径:39㎜
アリゲーターストラップ
価格:WG 限定5本 ¥6,490,000(税込)
RG 限定2本 ¥5,823,000(税込)
SS 限定3本 ¥4,860,000(税込) 合計10本 (完売)

 

搭載されたムーブメント FBN229.01は、最高の仕上げと革新的な巻き上げ機構を兼ね備えており、80時間のパワーリザーブを誇ります。

シースルーバックから見て取れるムーブメントはまさに芸術です。

 

こちらの写真6年前のバーゼルフェア

ローラン・フェリエ氏は静かで穏やかな人物で、スイスの高級部品などのサプライヤー達から敬愛を受けています。
製品デザインの着想を私に丁寧に説明してくれました。

 

主力製品のフォルムの「ガレ」まろやかな丸味を持った河原の石がデザインのコンセプト。
優美な曲線のケースフォルムはエレガントで色気のあるスタイリングの上、中味は極めて高性能な独自開発のムーブメントが内包されています。

 

今回ご紹介するローラン・フェリエエコールアニュアルカレンダーは、2018年にジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリのメンズコンプリケーション部門で受賞したアニュアルカレンダーのバリエーションモデルです。

自社製のムーブメント Cal.LF126.01を搭載しており80時間のパワーリザーブを備えた21,600振動のロービートムーブメントをケースバックから楽しむことが出来ます。
巻き上げる感覚も軽快で、コハゼが奏でる音も心地良いものです。

 

12時側に曜日と月がシンメトリーに整然と並んでおり、日を表示するポインターデイトは視認性の良い赤針を採用。

文字盤全体を等割するクロスラインがクラシカルモダンな雰囲気を演出しています。

 

美しいブルーの文字盤は角度や光の当たり方によって柔らかなヘアラインが顔を出し、ほのかに表情を変えます。

ローラン・フェリエ自身の好きな色がブルーで、その発色にこだわりや意志の強さを感じます。

ぽってりとしたケースのサイズは40㎜。厚さは12.8㎜と袖収まりが良く、ステンレススチール製ですので軽量でデイリーユースしやすい素材とサイジングですね。

文字盤のブルーとアリゲーターストラップのミッドナイトブルーの相性も良く、全体にまとまりのある雰囲気に仕上がっています。

 

機能面では、アニュアルカレンダーという複雑機構を搭載しながら10時位置のプッシュボタンで簡単に日付送りができるなど、操作性にも優れています。
クラシックでシンプルながらローラン・フェリエらしい長針と短針やムーブメントのコート・ド・ジュネーブ等の細部の仕上げ、文字盤のレイアウトやヘアライン仕上げなど熟練の時計師 ローラン・フェリエならではの魅力をたっぷり感じられる味わい深い一本です。

ローラン フェリエ エコールアニュアルカレンダー ブルー
LCF025.AC.CW、ケース径:40㎜、ステンレススチール、厚み:12.80㎜
ムーブメント:LF126.01(手巻き)スイスレバー式
年次カレンダー、防水性:30m、21,600振動、パワーリザーブ:80時間
価格:¥8,316,000(税込)

LAURENT FERRIER ➡ https://www.kamine.co.jp/watch/laurent-ferrier/mens/

カミネ トアロード店 ➡ https://www.kamine.co.jp/shop/torroad/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月15日 終戦記念日によせて

 

8月15日は終戦記念日。
毎年「この日」は永遠にやって来る。

「生還」より

私は体験もないのに戦争のことを軽々しく話せる
立場ではないと思っていましたが、
近年は それではいけないと強く思うようになりました。
それもやはり歳のせいかも知れません・・・。
太平洋戦争で最後の激戦地となった沖縄から生還した亡父は、
晩年この凄惨な戦争の悲劇を絶対に二度と繰り返さないよう
語り継いでいくことに多くの時間を捧げました。

父が自らの戦争体験を綴った著書「生還」には
「神にも悪魔にもなる人間」という印象深い一節があります。


映画「ログプラス」より

人を変えてしまうむごさ、恐ろしさのある戦争は
その反面 、人の本能に宿る本質的な愛情や
思いやりの心があることも 、この本は教えてくれる気がします。


Wikipediaより

後に遺された世代として、また父の思いを継ぐため
この「生還」を皆様に読んで頂きたいと思い、
カミネでは以前から各店頭に置き 皆様に差し上げています。

こちらの「生還」をご希望の方に差し上げます。
(送料他一切無料)

カミネ ホームページ内のお問合せフォーム
https://www.kamine.co.jp/contact/ より、お申込みください。

☆お名前、ご住所、「生還」希望、と記載ください
☆お一人様1冊とさせていただきます。

(2020年8月15日投稿の内容を再投稿いたします)

「こんな時計があったのか!」シリーズ【番外編 ミニッツリピーター】

伝統的な機械式時計の中で、数々の複雑機構としてトゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーターなどが上げられます。
その中でも操作することで時刻を音でも知ることができるミニッツリピータは、最も製作が難しく 音色を五感で感じる芸術性をも有するものです。

ムーブメントの中の小さな部品による連携でハンマーとゴングを打ち鳴らす驚異的に小さなその精密機構は、絶対にイミテーションを作ることが出来ない、未来に向けても大変稀少なものとなっていくでしょう。
私は長い経験から様々なミニッツ リピーターを扱ってきましたが、その一部をご紹介したいと思います。(画像は引用させて頂いたものもございます)

AUDEMARS PIGUET
ジョン・シェーファー カリヨン ミニッツリピーター

 

25年位前に取扱い お客様にご納品した事を今でも鮮明に覚えています。
小型クッションケースから奏でられる3連音のカリヨンリピーターに、当時驚きました。
音は小さめですが、小型のオルゴールのような音色でとても美しい時計でした。

 

参考画像ですが、同じ ジョン・シェーファーならオリジナルに近いこのモデルがやはり趣があって良いですね。

 

遥か昔、アメリカの実業家・ジョン・シェーファーオーデマ・ピゲ社にリクエストしたモデルから生まれた有名な復刻版です。

 

JAEGER-LECOULTRE

ジャガールクルトミニッツリピーター。レバーをスライドすると、文字盤右下のガバナーが回転してゴングを鳴らします。これも25年位前の同じ頃、扱いました。
小型でレクタンギュラー(角型)なので、中のワイヤーゴングも円型ではなく構造的に残響音の少ない硬い音がしたのを覚えています。

独創的 且つ革新的な時計を創るFP Journeのリピテーション スヴラン ミニッツリピーター

40㎜でコンパクトにまとまり軽く優れたリピーターでした。
ジュルヌ氏はリピーターにはスチール側が最も適していると何度も言ったことを思い出します。
リピーターの作動中にレバーを引いても壊れないセーフティー機構が付いていました。

ケース径:40㎜、ケース厚:8.65㎜
ステンレス製、手巻き

 

BLANCPAIN
ヴィルレ パーペチュアルカレンダー付 ミニッツリピーター

ケース径:33.8㎜、Pt、自動巻

若かりし頃 この時計を扱った時の興奮は大変なものでした。
発表当時、永久カレンダーにリープイヤー(潤年)表示がないことをブランパン社に指摘し、後に改善されました。小さく複雑な構造で 音色は小さめでした。

 

BLANCPAIN
ヴィルレ ミニッツリピーター

 

ケース径:33.8㎜、シンプルな手巻き
これは過去扱ったブランパン 6マスターピース
(異なった機能を全て同一ケースサイズに入れた6本のコレクション)の中の1本です。
上品且つ エレガント。6マスターピースは当時ブランパンを再興させたJ.C.ビバー氏の傑作コレクションです。

 

ダニエル・ロート
ミニッツリピーター 手巻き 2針

ケースサイドのスライドレバーはまっすぐ下がり、リピーターを打ち鳴らします。
当時のDRのフォルムをそのまま変えることなくリピーター機能を見事に設計に盛り込みました。
レバーが少し重めの薄く小さめの時計でした。

 

スイス 時計製造の聖地と言われる ヴァレド ジュウ地方。そこにダニエル・ロートのファクトリーは有りました。(今もブルガリ社のファクトリーとして継承されています)

写真はキャリオン ミニッツリピーター トゥールビヨン RG

 

これは上記のリピーターを初め、ジェラルド・ジェンタのリピーターを製造するファクトリーの流れを汲むもので、ダニエル・ロートがブルガリの傘下になってから近年 制作発表されました。
トゥールビヨンも内蔵し、更に3つのハンマーを持つカリヨン リピーター。ハンマーが表面から見える構造にするのも製作の手間が倍近くになります。
実に迫力のあるグランドコンプリケーションと言えるものです。

 

こちらのBrogもご覧ください≫≫≫時計製造の聖地、ヴァレド・ジュウ「ジュウ渓谷」とラショードフォン | KAMINE 社長ブログ | 神戶三宮 正規時計宝飾店カミネ

 

 

そして今、その名門ファクトリーはブルガリの傘下となっています。そこで製造されている最新型のオクト ミニッツリピーター。

新しい方式を開発した極薄型ミニッツリピーターです。
リューズの逆回しでリピーターの動力を巻き上げ、左側のプッシュボタンでリピーターを作動させます。
開口されたインデックスから音色が より聞こえやすくなっています。
従来から音を鳴らす為にケースサイドにあるスライドレバーの溝をなくし、レバーではなくボタンで鳴らすリピーターとして設計されました。それにより防水性(防汗性)の弱さを大きく改善しました。
加えてチタンケースによる軽量化で日常使用に適したミニッツリピーターを誕生させました。

 

ブルガリこのモデルはカミネ111周年に“ONE ONE ONE”というテーマでトゥールビヨン、ミニッツリピーター、スケルトンの3本で1setのワンオフセットの内の1本。
音楽家、坂本龍一様とのコラボでブルガリ×カミネで製作しました。

 

 

インデックスの「1」がゴールドに。8の位置に音符を配しました。

 

ジェラルド・ジェンタ

ヴァレド ジュウに存在した有名なデザイナー ジェラルド・ジェンタ氏のファクトリー
古い時代の懐中時計にしかなかったリピーター機能が腕時計にも装填されるようになり、少しずつ市場に出るようになった頃の珍しいオーバル型のリピーターです。
薄くエレガントな印象でシースルーバックから見える彫金も見事なものでした。レバーも滑らかに軽く薄型で小さい割にとても美しい音色を持つミニッツリピーターでした。

 

ジェンタデザインの特徴的なゴールドのブレスレットは革ベルトに変更することも出来ました。
小さくて薄いので、ベルトを外した状態で小さな懐中時計と間違われ、箱の隙間に入り込み しばらくの間 行方不明の大騒ぎになった事を思い出します。。。

 

A.ランゲ&ゾーネ
ツァイトベルク ミニッツリピーター

質実剛健なドイツの風合いをはっきりと感じさせるA.ランゲ&ゾーネの名作ツァイトベルクに鳴り物を加えた画期的な時計です。
15分毎のクォーターとは違い、10分毎の10進式のリピーターなので時刻通り10分刻みで回数ゴングが増え、より分かりやすく時刻を知ることができます。
画像の12:44であれば、12回→4回→4回とゴングを打ちます。
ツァイトベルクは、パネルの瞬転式で時刻を毎分示すだけでも 大変なトルクを必要とする上、リピーターのハンマーまで作動させる このモデルは驚愕ものです。

PATEK PHILIPPE

そしてこれはPP3939 トゥールビヨン ミニッツリピーター

20年以上前に実品がカミネに来て、その素晴らしく力強い音色に感動。
サイズ、厚み、手首に響く位 強いハンマーとゴングによる大きなリピーターの音色。
トゥールビヨンまで内蔵したムーブメントの設計、その美しさ、ダイヤル上の針、インデックス、グランフーエナメルダイヤル。

どれをとっても私の接した時計の中でも、過去最高の時計のひとつに間違いありません。

素晴らしい時計を扱う機会を与えて下さった
お客様方に心から感謝を込めて。

 

「本をひらく、世界がひらく」

神戸 東遊園地に新しく誕生した
「こども本の森 神戸」

建築家 安藤忠雄さんからの寄付で誕生した
子どものための文化施設です。

 

安藤建築らしい佇まいは、近代的でモダンな様相。
世界各地にある図書館に一歩も引けをとりません

 

参照:
安藤忠雄公式サイト
「安藤忠雄建築研究所」
http://www.tadao-ando.com/

(※写真はBVLGARI OCTOイベントにて撮影させていただいたものです)

 

デジタル化の進む昨今、次代を担う子どもたちが書籍で自由に活字文化に触れ、
感性を磨くこと そして創造力を育むことを願って今年3月に開館されました。

 

神戸のトレードマークの一つ「花時計」が正面に。
思わず撮りたくなるうさぎの花の文字盤にほっこり。

 

余談ですが…

この花時計は、1950年代当時の神戸市長が日本で初めて製作の計画が立案され、誕生しました。
計画を提案した当時の市長は、スイス ジュネーブのイギリス公園で見た花時計に着想を得たのだとか。

 

施設周辺にある本のモニュメントに
「本をひらく 世界がひらく」 という言葉が綴られています。

これは“多くの本を読み、それを心の栄養に人生に豊かさが生まれる”と言う安藤氏考案のフレーズ。

 

隣接する森の中のフレンチレストラン
「VILLA BLANCHE(ヴィラ・ブランシュ)」

このエリアで散策を楽しみながら、ランチやディナーをお楽しみいただくこともできます。

 

この施設は、震災から25年が経ち 沢山の教訓を継承することや、
ウォーターフロントと都市をつなぐ意味も込められています。

今この地区は大改造中で、間近となった神戸市民の“大公園” 「東遊園地」の完成が楽しみです。

 

大好きな神戸の街が次の世代にも愛され、
ここに生まれてきてよかったと思える街であり続けることを心から願って…

2022,初夏にて

カーフレザーのカスタマイズ

今 話題のカーフレザーをカスタマイズしてみました

高級時計にはクロコダイル、アリゲーターがこれまで一般的でしたが、昨今 カーフレザーを熟練のタンナー(革職人)が加工し、雰囲気、使用感共に最高のクオリティで バリエーションが豊富になりました。

 

写真は私物のカルティエ タンク ルイにカスタムオーダーしたカーフレザー。

軽くて薄く、その柔らかさで手首に優しく巻き付く感覚はこの時計に毎朝 手が伸びてしまう理由です。

 

カスタムオーダーは、まずはカラーを指定し、ベルトの先端(剣先)の形とベルトの厚み(フラット、ボンベ、ボックスなど色々有り)ステッチのカラー(同色又は生成)シングルorダブルのハンドステッチ等々を指定します。(仕上がり迄 約1ケ月で2~3万円)

そのレザーとは、ミモザという革ベルトのブランドから発表された「エミッタ」というシリーズ。
Kamine Bis店で取り扱っています。

ミモザのコンセプトは、「セカンドベルトとして気軽に遊んで欲しい」
スタイリッシュさを追求し、市販ベルトの常識にとらわれる事なく、アパレルを意識した素材感優先で「革」を厳選し、デメリットとされてきた経年変化(エイジング)こそ、「良質の革」の証であり、最大の魅力だと考え、世界の有名タンナーの革も積極的に取り入れ、極め細やかにジャパンメイドで仕立てるというものです。

 

 

こちらの写真は WAPRO LUX(ワープロラックス)
ドイツのタンナー「ワインハイム社」

150年の歴史を誇る名門タンナー・カールフロイデンブルグ社の後継的タンナー。
ソフトな感触でありながら独自のコシがある型押し革。
エイジングはしにくいですが、傷や色落ちにも強いのが特徴。
使い込むと上質な光沢を帯びてきます。

 

腕時計の革ベルトは、色々な素材のレザーをカスタマイズして時計そのものをイメージチェンジすることができます。(勿論、既製品も有ります)

 

 

時を計るだけに限らず、腕時計は自己表現をする大切なファッションのツールのひとつです。
上質なクオリティを楽しみながら印象の変わる革ベルトの「衣替え」を是非お楽しみ下さい。
様々なベルトのオーダーはカミネ各店及びカミネBis店で承っております。

≫≫Kamine Bis

≫≫Kamine

 

 

 

 

神戸のコーヒーショップ ”EVIAN COFFEE”

ツーンとした寒さと共に 今年もはや余すところあと僅かになりました。クリスマス、そしてお正月がもうすぐ目の前ですね。

12月は神戸・旧居留地の街路樹は色づいた葉を落としイルミネーションがキラキラと輝きます。

古い洋風建築とガス灯が連なり、最も神戸らしい美しい12月の街並みを楽しめます。

 

コートの襟を立てて歩いていると恋しくなるのがあたたかいコーヒー

 

人類がコーヒーに出会った瞬間”を描いた印象深いある伝説があります。
それは何世紀も前のエピソード。
「コーヒーの実を山羊が食べて興奮しているのを見つけた山羊飼いが、自分も食べてみたら精気がみなぎってくるのを感じ、近くの修道僧にすすめたところ、修道僧たちは長年悩んでいた儀式中の睡魔から救われ、以降 居眠り防止の“魔法の実”として重宝された」 というものです。
※ヤギ飼いカルディの伝説(UCCのホームページより)

 

コーヒータウンとも呼ばれるほど珈琲の名店が多い神戸。
神戸を代表する企業のひとつ「UCC」は日本で初めてコーヒーを発売したと聞きます。
そんな神戸には、多くのコーヒーショップがあります。

私個人のベリーベスト(お気に入りでも)は永年変わらずここ。

EVIAN COFFEE(エビアンコーヒー)

 

“金時食堂で昼食、エビアンでコーヒー”
実にシンプルで平凡なルーティーンでもあります☺

洒落たカフェもいいんですが、いろんな世代が訪れそれぞれの人々がコーヒータイムのひとときを過ごしている昭和の香りがする「純喫茶」スタイルが好きなのです。

オーダーはいつも 少し濃い目にオーダーするアメリカン。

 

 

夏にはアイスコーヒー(これがまた旨い)

何故ベリーベストなのかはコーヒーの優しい丸味のある味わいとレトロな居心地。
そこにはほっとさせる瞬間があるからなのです。

人類の発見した6大飲料のひとつ、「コーヒー」の世界は実に奥深いものがありそうですが、ここエビアンのコーヒーは先代から徹底してこだわり抜いたレシピに基づいたものだとか・・・。

豆はエチオピア、コロンビア、ブラジル産など多品種のコーヒー豆を浅入り焙煎し、細挽きし、それによってエグ味がなく柔らかい(優しい)丸い味になるとの事で、確かにそう感じます。

 

焙煎(豆挽き)にはこんな年代物のマシーンが使用されています。

焙煎された香ばしいコーヒー豆の香りが店内に薄っすらと漂います。

 

エビアンといえばサイフォンコーヒー

アルコールランプを使い、サイフォンで「ポコポコ」と古めかしい沸騰のさせ方をします。

 

ゆっくり抽出される美味しい一杯は、一日の活力。
夕方からもうひと頑張りそんな気分にしてくれます。

 

コーヒーの味覚の決め手は曳いた豆がサイホンで沸騰する際の攪拌(カクハン)が命とか。
スナップをきかせて独特のリズムでゆっくりかき混ぜる。
(かき混ぜすぎると苦味、エグ味が増す?)
この手首の回し方で、味の全てが変わってくるとか。

 

敢えて言えば、ハンドフィニッシュで個性が出ると言われる時計作りとも似たところがあります。

 

エビアンはモーニングも抜群で、エビアンをもじった造語 “アサビアン”はコンビーフに野菜、タンパク質と生クリームの糖質で朝のエネルギーをチャージ。

 

それに柔らかな風味の優しいテイストのコーヒーがよくマッチします。

 

この他、シンプルなトーストサンドイッチステーキサンドまであるのです。パンは神戸のイスズベーカーリー。古くから人気のミックスジュースも昭和の味!

 

先代が考えたという個性のあるレトロなロゴもこの店らしい。

 

大丸神戸店 西玄関、元町商店街の入口を入ってすぐ右のカドを元町駅の方に歩いてすぐ、穴門筋というところに「EVIAN」はあります。是非、お立ち寄りください

エビアンコーヒー »»» Evian Coffee

カミネ »»» https://www.kamine.co.jp/

 

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