KAMINEスタッフブログ

腕時計の頂点 PATEK PHILIPE Ref.5002 スカイムーン・トゥールビヨン。最初で最後の出会い。

何年越しかで、ついに先日入荷したパテック フィリップ Ref.5002を簡単ですが、ご紹介させていただきます。

この時計を取り扱えることは、時計商としての金字塔で、カミネとして、そして私個人としても生涯における貴重な体験となりました。

先ずは、こちらが専用の化粧箱です。

これほどの時計の箱としましては
それほど大きいものではありませんが、
時計の箱としては、これまた最高のものです。
極めて上質なWOODを磨き上げ飾られている上、
金具は全て18金の彫金仕上げで
至上のクオリティです。

昨年、パテック フィリップ本社工場内を見学した際
その中に時計のパーツをエングレービングする
アトリエがあり、トップレベルの職人が
このカラトラバマークをアレンジしたデザインの
彫金を入念に仕上げているところをみました。
この時計の箱を作るのにこんなに手間がかかるのかと
驚きましたが、その工程を経て完成します。

化粧箱には手で彫られた
「Sky Moon Tourbillon」と
「Patek Philippe」の銘板が
貼り付けられています。

箱に時計をセットすると、このようになります。
(触るのが恐ろしいですが・・・)

化粧箱と時計そのもののバランス、箱のセンターに収まった姿
時計というより芸術品として、この世の頂点というのにふさわしく、壮麗さすら感じさせます。


5002モデルは、パテック フィリップが
これまで製作した最も複雑な腕時計で、
最初のダブルフェイスでもあります。

時刻表示の他、北半球の天空星座図を表わし、
月の軌道も示します。

ミニットリピーター、トゥールビヨン、
永久カレンダー
をはじめとする
稀少で驚異的な複雑機構が満載です。
部品総数は686個に及び、
その一部は顕微鏡を使わないと
はっきりと見えない微小なものです。

この時計を象徴する右側の2つの大きなリュウズの反対側に
カラトラバの調金で装飾されたスライトピースが存在します。
これをゆっくりスライドさせることで、ミニットリピーターがその時刻を奏でます。
この時計に搭載されているリピーターは、パテック フィリップ社の誇る
カセドラルゴングと呼ばれるもので、言葉通り聖堂に響き渡る鐘の音色で時刻を知らせます。

ご納品時に、お許しを得てレバーをスライドさせるとトアロード店2F全体に重厚で美しく、壮麗な音が響き渡りました。
豊かな音色と残響の大きさがカセドラルゴングの特長です。


天文学的な超複雑腕時計である、
この5002スカイムーン・トゥールビヨンは
1個のを完成させるのにパテック フィリップ社の
エリート技師で構成された数名のチームにより
数か月の作業が必要とされ、これまで年間で
僅か2点のみ製作されてきましたが
昨年で製造が終了しました。

従って、今後はファーストオーナーとして
新たに入手することは不可能となりました。
現在、そして将来的にも著名なオークションでは
レコードを塗り替えていくことになるでしょう。

最後にこの時計をご納品させていただきましたお客様に対しまして
この上なく貴重で光栄な機会を与えてくださいましたことに、心から感謝申し上げます。


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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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