CARTIER
Le Style et l’Histoire
ジュネーブ SIHH終了後、
訪れたのは、フランス・パリ。
「カルティエ スタイルと歴史」 展を訪れるためでした。
過去最大となる歴史的な展覧会の開催会場も、
カルティエと同じアールデコ様式。
美しい佇まいです。
ご存知の方も多いでしょう、このパンテール。
世紀のロマンスでかの有名な
ウィンザー公爵夫人の所有物。
パンサーの背中はなだらかなラインを描き、
初めて見る現品は、とても美しいものでした。
なんといっても、抱えている
152.35ctの
カシミール産の"サファイア・カボション"がすばらしい。
"パンテール"は、カルティエのアイコンのひとつですが、
この由来はジュエリーのクリエイティブ・ディレクターとして
名を馳せていた、ジャンヌ・トゥーサンの存在があります。
この時代に女性で影響力のある人物とは稀有なものですが、
彼女はその美しく優雅な姿の反面、激しい気性を持ち合わせたていたことから、
この"パンテール"というニックネームが付けられたそうです。
のちに、ある家のパンテールの姿に魅了され、モチーフとしてプロダクトを産出。
上のブローチは、立体的にパンテールを描いた最初の作品なのです。
N.Y 5番街のカルティエ、40~50年代ごろの写真。
ここは、創業者ルイ=フランソワから経営を受け継いだ、
アルフレッドの三人息子のうち、次男ピエールが開店させました。
名作 「タンク」 シリーズには
彼ら三兄弟の開店させた土地にちなんだコレクションが
あることは、きっとご存知ですね。
毎年、クリスマスには
美しい赤で街を彩る一手を担うこの店。
誰しもが見ただけで心躍る…
そんな素晴らしさのある店構え。
"ラドーニャ" という時計があることをご存知でしょうか。
このマリア・フェリックスというメキシコの女優が
二対の小瓶につめたワニ(なんとペット!)を
ブティックへ持ち込み、ジュエリーや時計の
モチーフイメージでオーダーしたという逸話があります。
"ラドーニャ"もその派生。
最も女っぽく、セクシーなプロダクトの一つといえます。
写真の首元にも注目。
こちらが現物 (!)
カルティエにとって、マリア・フェリックスは
キーパーソンとしても、顧客としても
名を残す女性の一人でした。
カルティエというジュエラーは、脈々と続く
歴史の背景にいつも
このようにシンボリックな女性の存在がありますね。
元は、40ct以上のものを美しい
プロポーションにリカットされた
23.60ctのピンクダイヤモンドが
中央に鎮座するブローチ。
ロンドン、エリザベス2世の所有する
ロイヤルコレクション。
それを身に着けるエリザベス女王と
彼女の娘、アン。
"受け継ぎ、受け継がれるもの"
世代をつなぐ、大切な役目を果たすのは
いつの時代もジュエリーであり、
そうあってほしいと願います。
数多くのミステリークロックを
世に送り出しているのも
カルティエの特色の一つ。
時を示す針を動かすムーブメントは
どこに内包されているのか?
それが、ミステリークロックの語源です。
"シノワ風"のエレファントは、
18世紀の中国を起源としたひすい。
これはマハラジャの所有物です。
インド、パティヤ―ラ―のマハラジャ。
身にまとっているのは、
1928年ごろにカルティエの製作したチョーカー。
プライベートコレクションだそうで、
元々は彼の父のために作られたもののよう。
この時代にマハラジャからの要請で
生まれた時計が、
防水のきく 「パシャ」 です。
会場でひときわ目を引いていたこちら。
詳しく聞くのを忘れてしまったのですが、
おそらくは
アラブかマハラジャのものでは…
1900年初頭に生まれた
初めてのリストウォッチ「サントス」から、
一世紀を超え、"伝統" と "革新" で培われた
カルティエのウォッチメイキング。
数あるウォッチメゾンと比較しても、
全く遜色のないコレクションです。
タンクアメリカン、トーチュ、ベニュワールなどは
現在のあらゆる時計ブランドの
プロダクトデザインに影響を与え続けています。
現代においても常に時代の先頭をきってトレンドを世に生み出す、カルティエ。
今年、2014年のカルティエの新作は大豊作でした。
近年では日本向けのもっとも充実したラインナップといえるでしょう。
どうぞご期待ください。
二日間のパリは、共に雨。
傘を片手に眺める凱旋門も
憂いある表情ながら
やはりこの街は、いつ訪れても美しいと感じます。