KAMINEスタッフブログ

リシャール・ミル RM27-02

ラファエル・ナダルⅢ 
”アンベール”

今年1月、
ジュネーブSIHHでトップシークレットとして
一部の関係者のみに披露されたRM27-02が、
今春5月、パリで正式に発表されました。

リシャール・ミル ナダルシリーズの三作目となるこの度のモデル。
その超絶的な時計製造を紐解いてお伝えします。

2010年 全仏オープンテニスの男子シングルで、
ラファエル・ナダルが装着し優勝して
時計界の話題をさらったRM027。

超軽量で耐衝撃性に優れ、今や伝説の時計となっています。

ハードなスポーツでも使えるように、
「超軽量で衝撃に強く、その上 工芸品のような美観を備えたトゥールビヨン」
そのミッションを背負うナダルシリーズの一作目は2010年に発表され、
余分なパーツを排除するため
ムーブメントの輪列をケースの地板そのものに配しました。

続けて発表されたRM27-01は、
今度はムーブメントをワイヤーで宙づりにする
という画期的な手法を採用。
その奇想天外な発想と実現は、業界を驚かせました。

いずれも過去の時計製造では使われた事のなかった
カーボンナノチューブ、リチウム合金などの
新素材が採用され、驚異的な軽さと装着感を生みます。

そして今年発表されたRM27-02のムーブメントがこちら。

羽根のように軽い3.35gのムーブメントは、
チタンとカーボンで複雑に構成され、
入念な手仕上げが施されています。

そして最大の特徴は、
そのムーブメントがミドルケースと地板を完全に一体化したモノコックの構造のケース内に
組み上げられていることです。

フォーミュラなどのレーシングカーのシャーシから着想を得たこの構造は、
時計自体に大きな衝撃が加わっても、
モノコック構造による剛性によりムーブメントにゆがみが発生しないので、
輪列へのダメージも大幅に軽減されます。
そのため、耐衝撃性が飛躍的に上がります。

参考までに、レーシングカーやフェラーリの
モノコック構造のシャーシをご覧ください。

基本、モノコック構造
外部からの衝撃を一部分で受けるのではなく面で受け流す構造で、モノコックで作られた形を変形させないメリットがある為、
F1のコクピットに使われます。
(変形しないことで、命が守られるのです)

ねじれに対する剛性をはじめ、
揺れなどを含む強いGに対しても、
頑強にムーブメントをホールドします。

RM27-02は、ショックを与えるテストにおいて、
5000Gもの衝撃をクリアします。

外部からの振動に対して、
モノコックの地板からムーブメントを支えるパーツにカーブを持たせることと、
トゥールビヨンなどを支えているカーブしたブリッジと一部にカーボン製ケーブルを採用する“柔”の理屈で衝撃を逃がし、驚異的なタフさを実現しています。

強靭で美しいムーブメント構造をクリアしたあとは、軽く極めて硬質で新しいケースの製造となります。

リシャール・ミルが他社の追随を許さない部分は実はここにもあります。

大変 稀有で高価な新素材を
エベレスト山頂の雪をひとサジすくうように
ごく僅かな量だけ
使用して造られる贅沢なリシャール・ミルの手の込んだケースは、
自社の「プロアート」で入念に製作されます。

ブラック&ホワイトの縞模様のケースで、
個体差のある独特の風貌は、
見る人の目を釘付けにする上、
軽量で耐熱性、耐衝撃性などにも驚異的な完成度を誇ります。

これまでにない新しい構造によって完成したRM27-02
現代において最も進化したジャンルの時計として
世界限定50本のデリバリーが来年早々には始まります。

その大半は世界中に納入先が決まっているとの事・・・。
何度も驚かされる時計です。

RM27-02
Tourbillon “Rafael Nadal”

手巻きトゥールビヨン
ムーブメントの重量:3.35g
ストラップ:オレンジケブラー/ベルクロ
パワーリザーブ:約70時間
限定:50本
予価:¥95040000(税込)

最後にそのムービーもご覧ください。

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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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