A.ランゲ&ゾーネの歴史より、発祥についてのストーリーをご紹介します。
初代フェルディナント・アドルフ・ランゲは、1845年12月7日自分の工房を開くというかねてからの夢を実現し懐中時計の製作からスタートしました。
当時まだ30歳にもならない彼が工房を開いた場所は、ドイツ東部ザクセン州の山岳地帯、チェコとの国境すぐ近くのエルツ山地。
その人里離れた場所をアドルフ・ランゲが選んだのには理由があります。
銀の採掘量が減り、鉱山が廃鉱となって生活の糧を失った人々に将来への希望を与えたいと考えたこと。
そしてこの地方の人々が決して諦めない精神力と手先の器用さや発想の豊かさを持っていたことからでした。
「貧しいエルツ山地の住民のために新たな生業を確立する」という志のもと、融資額や収益見込みを算出したビジネスモデルを綿密に計算して支援を請う書簡をザクセン政府に送り、見事ザクセン国王内務省からの支援承認を得て、エルツ山地グラスヒュッテの町で15名の若者を見習いとして雇い、時計師としての育成を開始しました。
アドルフ・ランゲは様々なアイデアを考案しては時計技法の改善に務めます。
初期の工房では足踏み式旋盤を導入し、それぞれの工程で職人が歯車やゼンマイ、ケースといった専門分野を分担するシステムによって部品加工精度が飛躍的に向上しました。
後に育った時計師が専門分野の工房を独立して開業し、グラスヒュッテは精密時計産業地帯へと発展していきます。
ムーブメントの安定性向上の為に設計された4分の3プレートは、現在でもA.ランゲ&ゾーネの大きな特徴となっています。
(写真は2015年夏に完成したグラスヒュッテの新工房)
1875年にこの世を去ったアドルフ・ランゲの志は、昨年逝去したウォルター・ランゲまで褪せることなく受け継がれ、現在もA.ランゲ&ゾーネのタイムピースを手に取る度に、あくなきチャレンジ精神を感じ取ることができます。
全盛期から戦争による恐慌の歴史についてはまた次回ご紹介します。
ドイツ最高峰の時計、A.ランゲ&ゾーネはカミネ旧居留地店でお取扱いしております。
カミネ旧居留地店:078-325-0088