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独自スタイルの受け板がもたらしたもの

機械式時計のムーブメントにおいて使用される部品数は手巻き、自動巻、機構によって大きく変わりますが、一番少ない物でも100以上の部品によって構成されています。
どんな時計も多くの部品が緻密に噛み合い時を刻んでいるのです。

これらの部品は地板、受け板と呼ばれる金属板によって固定されており、
この板が無ければ時計は少しの衝撃にも耐えることができません。

今回はその受け板のお話。

一般的に受け板は複数枚で固定している場合が多いです。
なぜなら、機械式時計の部品は極めて小さく、そして細かい噛み合わせによって成り立っています、そのため複数枚で固定したほうが組み立て作業も進めやすく、ちょっとした調整の際にも融通が利くからです。
しかし、A.ランゲ&ゾーネの受け板は特殊な形状をしています。

それがこの4分の3プレート。
写真をご覧いただけるとお分かりいただけると思いますが、テンプ部分だけが露出されており、他の部品は1枚の受け板で覆われています。

先にも述べたように多くの部品を1枚の受け板で固定することは技術的にも難しく大変、労力を要します。
ではなぜわざわざそのような手間がかかることをするのか、それは創業者アドルフ・ランゲの思想に基づいています。

どの時計師が組み立てても品質にばらつきがなく、その品質が長く保たれる時計を作ることに熱を注いでいました。

そうして開発されたのが4分の3プレート。

これにより各部品の軸はずれなくなり、動作も安定性が増すようになりました。 動作面だけでなく、ムーブメント内部に埃などが入りにくい。

この受け板は長年かけて改良されていき、現在はグラスヒュッテストライプで仕上げ装飾が施され、青焼きしたネジで留めたゴールドシャトンや受け石の人工ルビーが華やかさを演出しています。

こうして、4分の3プレートの1枚1枚を、ザクセンに高級時計産業を興したA.ランゲ&ゾーネの創業者への敬意を込めて製作しているのです。

今回は、ランゲを語る上で欠かせない4分の3プレートについてお話しました。
ランゲの時計は腕利きの職人が手間暇をかけて製作しているのです。

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篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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