KAMINEスタッフブログ

腕時計のケースのサイズ

テーマ
1,ケースサイズの歴史
2,クラシック
3,ジェンダーレス化におけるケースサイズの認識
4,フィットするケースサイズとは

腕時計のデザインは身に着ける人の印象を多彩に見せますが、バランスやケースサイズも大変重要です。

時計のモデルに応じて、適正なケースサイズを選ぶことでフィット感の向上や、ご自身の見せ方を変えることが出来ます。

今回の記事では、どのようなケースサイズが選ばれやすいのか、トレンドやおすすめの選び方についてご紹介していきたいと思います。

  1. ケースサイズの歴史

ケースサイズにもトレンドがあります。

腕時計のスタイルが確立した1930年代は、ロレックスを中心に約30㎜の小型ケースが主流でした。時代と共に技術が向上し、防水機能や自動巻機構の普及に伴い、少しずつケースは大きくなっていきました。

特に影響したのは自動巻機構。

手巻きの機械をベースに自動巻きのパーツを重ねていたため、50年代に入るとケースサイズの平均は34mm前後と大きくなっていきました。

それから長い歳月をかけて、技術革新やデザインの改良が進み、少しずつ機能がケースサイズに影響を与えることは少なくなりました。

1998年、スイスのジュネーブサロンでパネライが44㎜という当時では考えられない程巨大なケースサイズの新作を発表し、世界に衝撃を与えました。

パネライの大きなサイズ感は瞬く間に旋風を巻き起こし、各ブランドにも大きく影響し、いわゆる”デカ厚”時計が一気にトレンド化。その後発表される新作時計の平均ケースサイズは躍的に大きくなったのです。

その後、2000年代までは45mm前後のデカ厚時計の人気が続きましたが、2010年頃から、クラシカルで小ぶりなサイズを求める原点回帰の流れがおこりました。

この頃から、各ブランドの新作で40mm以下のケースが復刻としてよく見られるようになり、徐々に平均サイズが小さくなっていきました。

近年では主にスポーツモデルにみられる大きなケースサイズと、日常使いしやすい実用的なケースサイズのどちらも需要が高まっています。

クラシックモデルとスポーツモデルのトレンドサイズについて触れていきたいと思います。

2,クラシックとスポーツモデルのトレンド

ラグジュアリースポーツ熱がアツい近年ですが、先述のようにサイズダウンしたスポーツモデルやシンプルで小ぶりなクラシックモデルの人気も高まっています。

2022年の今は、若干ケースサイズは小型傾向にあります。

 例えば、ウブロのビックバンウニコはもともと45㎜ケースでの展開でしたが、小型化した42㎜ケースも加わりました。

ビッグ・バン ウニコ チタニウム 42㎜

この流れは様々なブランドで見られ、オーデマピゲロイヤルオークオフショアは44㎜から43㎜へ。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ 43㎜

デカ厚時計の火付け役となったパネライも44㎜から42㎜へサイズダウンしたモデルが発表されるようになりました。

サブマーシブル 42㎜

では、次にクラシックモデルのケースサイズについて。

一般的にクラシックモデルの平均ケースサイズは38㎜~41㎜前後と言われています。

身に着ける方の手首周りにより、フィット感も違います。

クラシカルなドレスウォッチはトレンドのみではなく、ご自身の手首にフィットするジャストサイズをお選びいただくのがおすすめです。

日本人の場合はやや小ぶりな37㎜前後のドレスウォッチもよく選ばれます。

ドイツの時計ブランド「A.ランゲ&ゾーネ」の“サクソニア”は、

35㎜、37㎜、38.5㎜、39㎜、40㎜と実に幅広いサイズ展開です。

手首にフィットするジャストサイズを選ぶことで装着感が良く、袖口の邪魔にもならないのでスマートにつけこなしていただけます。

サクソニア35㎜

サクソニア フラッハ 37㎜

ケースサイズがアップしていくと、重厚感と存在感が増します。

サクソニア ムーンフェイズ 40㎜

次にレディースのケースサイズに触れてみたいと思います。

3,ジェンダーレス化におけるケースサイズの認識

レディースウォッチのサイズに主流はあるのでしょうか?

レディースウォッチのケースサイズは25㎜~30㎜前後と幅広く、中には20㎜を切る”ミニウォッチ”と表現される時計もあります。

J12 XS 19㎜

機械式時計でもジャガールクルトのランデヴーのように30㎜を切るモデルも存在します。

ランデヴー・クラシック ナイト&デイ 29㎜

ここでお伝えしておきたいことがあります。

ここまでケースサイズのトレンドを「メンズ」、「レディース」と表現してきました。
また、以前は多くのブランドが「メンズ、レディース、ユニセックス」という表現をしていました。

しかし、現代ではジェンダーレスが進み、時計業界も少しずつ時流に即して変化が起きています。
”時計それぞれを性別で区別しなくてもよい”という考えが強まり、各ブランドでも紳士用、婦人用など性別を表記せず、ケース径をモデル名の後につけて先入観をなくしています。

4,フィットするケースサイズとは?

店頭でお客様とお話をする際、どのくらいのケースサイズがご自身の手首にフィットするのかお悩みの方が多くいらっしゃいます。

例えば、45㎜とちょっと大きいけれど、デザインが好みのスポーツウォッチを、いざ腕に着けてみると手首周りと合わないといった経験はありませんか?

一般的に手首を真上から見て、ケース幅の割合が手首幅の6~7割くらいになるサイズ感が「バランスが良い」と言われています。

例えば上からみた手首サイズが6.5㎝(65mm)の方の場合、39㎜~45.5㎜のケースサイズがおすすめです。

65㎜×0.6=39㎜

65㎜×0.7=45.5㎜

私の上から見た手首サイズは57㎜なので、私の場合は34~40㎜がバランスの良いサイズとなります。
また併せて全身鏡で全体的なバランスを見て頂くこともおすすめしております。

グランドセイコー SBGX349 34㎜

時計をお選びになる際、ケースサイズは大変重要なポイントとなりますので、今回の記事をご参考頂けますと嬉しいです。

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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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