機械式時計の『3大複雑機構』
「トゥールビヨン」
「ミニッツリピーター」
「パーペチュアルカレンダー」この3大複雑機構にさらに4つを加え
『7大複雑機構』と言われているのが
「スプリットセコンド・クロノグラフ」
「パワーリザーブ・インジケーター」
「レトログラード」
「ムーンフェイズ」です。
今回はこの中から「ムーンフェイズ機構」に注目してみます。
1.月の暦とムーンフェイズ機構
2.ムーンフェイズの合わせ方
3.現行モデルからムーンフェイズウォッチのご紹介
1.月の暦とムーンフェイズ機構
「今宵は月が綺麗だなぁ」とふと夜空を見上げた瞬間に魅せられる月の美しさ。
秋の夜長は、お月見をするには最適です。
マリンスポーツや釣りをする方は、月が海に大きく影響するので月齢を確認されることがあると思いますがそれ以外ではなかなか月の満ち欠けを気にされている人は少ないのではないでしょうか。
地球にとても近く大きい天体である月。
直径は3474km、地球の約1/4程の大きさがあります。
太陽と月の位置関係による引力で大潮や小潮になるなど、地球では海も生態系も月から多大な影響を受けています。
釣りを例に挙げると、一般的には月が明るい満月前後は光に集まってくる魚が分散するので釣りにくくなり、暗い新月の夜は魚のえさとなるプランクトンが活性化し、漁船の常夜灯にも魚が集まりやすいなどの条件で捕獲しやすいそうです。
現在は太陽の動きを基準とする新暦のグレゴリオ暦カレンダーが常用されていますが、ムーンフェイズは「旧暦」の月と太陽の運行を基準とした「太陰太陽暦」に準じます。
新月、上弦の月、満月、下弦の月というサイクルを、約29.5日掛けて繰り返す月。
月の満ち欠けをダイヤル上で表すムーンフェイズ機構は、月のサイクル29.5日の2倍となる59日間をかけて、ディスクに描いた2つの丸い月がぐるりと一周することで表示しているものが一般的です。
ムーンフェイズは月齢カレンダー機能とされることが多いですが、月齢の数の目盛りが無いものは正確には『月相』表示となります。『月相』とは月齢によって月の見え方が変化していくことで、三日月・満月・新月などの月の形状のことを言います。
ムーンディスクの両側を円弧状のデザインで隠すことで、見えている月の形で満ち欠けを表現するというのが一般的なムーンフェイズの仕組みです。月の形を古くから、上弦の月、下弦の月と表現することもありました。
29.5日の月齢目盛りがあるムーンフェイズモデルもあります。
ちなみに、月が描かれていても、昼と夜を表示する「デイ&ナイト」のモデルも存在します。これは似ているようでムーンフェイズ機構ではありません。
カモメが両羽を広げて飛んでいるような形で月のディスクを覆っているのが一般的なムーンフェイズ、と覚えて見ると分かりやすいです。
月に顔が描かれているなど、様々なデザインのムーンフェイズを見るのも楽しいものです。
2.ムーンフェイズの合わせ方
ムーンフェイズ表示を実際の月の暦と合わせるためには、月齢表が必要となります。
ムーンフェイズは、月が隠れて全く見えない月齢0日の新月で合わせる場合と、月がディスク中央に来る月齢14日の満月で合わせる場合があります。
カミネではまず満月で合わせることをおすすめしています。こちらの手順をご説明します。
最初にムーンフェイズ表示の月を、中央にセット。
月齢カレンダーで今日が満月から何日目になるかをカウントします。 多くの場合ムーンフェイズモデルは、本体ケース側面にムーンフェイズ専用の操作ボタンが付いています。
プッシュピンでボタンを1回押すごとに、1日分月が動きます。
満月から今日が何日目になるかカウントした回数分を押して、月の位置を進めればセット完了です。
(夜0時前後は基本的に操作禁止の時間帯となります。詳しくはお問い合わせいただくか各モデルの取扱い仕様をご確認下さい。)
3.現行モデルから高精度ムーンフェイズウォッチのご紹介
ぜひご紹介したい逸品を1点ピックアップしました。
A.ランゲ&ゾーネ「サクソニア・ムーンフェイズ」 122.6年に一度だけの修正で正確に月相を示す高精度ムーンフェイズ。
Ref. 384.032 / LSLS3844AD 18Kピンクゴールドケース40mm 、ケース厚み: 9.8 mm、自動巻き、パワーリザーブ 72 時間、防水3気圧、キャリバー L086.5、ムーブメント部品数 325個
¥4,653,000-税込
A.ランゲ&ゾーネのタイムピースはすべてドイツ・ザクセン州のグラスヒュッテで製作されています。
サクソニアというモデル名の由来となるドイツ・ザクセン州は、昔からドイツ国内でも技術開発において先駆的な地方として知られています。
852個の星々が煌めくゴールド無垢製のムーンディスク。特許を取得した独自のコーティング法で表現された美しいディープブルーの色調に惹き付けられます。
12時位置のアウトサイズデイトと6時位置のムーンフェイズをセンターライン上にシンメトリーに配したデザインもこのモデルの魅力を際立たせています。
人類が宇宙船に乗って到達したことのある唯一の天体、月。
太古の昔から、人々は満ち欠けを繰り返す夜空の月の変容に魅せられ続けてきました。
夜空に輝く月の形とムーンフェイズ表示が連動しているのを眺めていると、
壮大で神秘的な宇宙の仕組みと、腕元の小さな宇宙ともいうべき機械式時計のロマンを感じます。
皆様もぜひ気になるムーンフェイズウォッチをお手に取って、月の満ち欠けを愉しんでみてください。