1755年ジュネーブで創業して以来、265年以上も途切れることなく歴史を紡ぎ続ける世界最古の時計マニュファクチュール「ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)」。
多くの名だたる時計メゾンが古くからの歴史を有していますが、戦争など様々な理由で操業を中断していた期間があるため、途切れることなく続いているウォッチメゾンはヴァシュロン・コンスタンタンが世界最古となります。
Vacheron Constantinの読み方については、現在はフランス語読みの「ヴァシュロン・コンスタンタン」となっていますが、英語読みやドイツ語読みでは「バセロン・コンスタンチン」の発音が近く、以前は日本でも「バセロン・コンスタンチン」と呼ばれていました。
日本では2002年頃からブランドオフィシャルサイトでも「ヴァシュロン・コンスタンタン」の表記で統一されるようになりました。
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史
スイス・フリブール市出身の織物職人の5人兄弟の末っ子として、1731年ジュネーブで誕生した創業者のジャン=マルク・ヴァシュロンは、幼少期より父親から商売について教え込まれていました。
24歳にしてすでに熟練の時計職人でもあったジャン=マルク・ヴァシュロンは1755年9月17日ジュネーブのサン・ジェルヴェ地区に時計工房を開設し、この日からメゾンの長い歴史が始まりました。
その後、ジャン=マルク・ヴァシュロンの2番目の息子アブラアン・ヴァシュロンへ事業が継承され、フランス革命やその後のフランス総裁政府軍によるジュネーブ併合といった大動乱期を乗り越えながら、ブランドは継続していきます。
1810年からは孫のジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが経営を継承。大胆な野心を持ったジャック・バルテルミー・ヴァシュロンにより、この時期にメゾンは大きな飛躍を遂げました。
ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンの手腕により、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計は初めてスイスの国境を越えてフランス、イタリアへと販路を拡大して輸出されるようになります。
ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンはイタリアの地で、時計を売り込むために来ていたフランソワ・コンスタンタンと運命的な出会いを果たします。若いころからアルプスとジュラ地方を旅しながら培ったフランソワのビジネスセンスに惚れ込んだジャック・バルテルミー・ヴァシュロンは、1819年に彼を共同経営者として迎え入れ、『ヴァシュロン・コンスタンタン』という名はこの時から始まったのでした。
フランソワ・コンスタンタンがジャック・バルテルミー・ヴァシュロンへ宛てた旅先からの手紙には、後にヴァシュロン・コンスタンタンの信条となる『できる限り最善を尽くす、そう試みる事は少なくとも可能である』というフレーズが書き込まれていました。この文言は、カミネ旧居留地店のヴァシュロン・コンスタンタンコーナーの壁面にもフランス語と英語で刻まれており、ブランドを語る上での大切なキーワードとなっています。
フランソワ・コンスタンタンとジャック・バルテルミー・ヴァシュロンは、複雑で洗練された時計の製造に情熱を傾けます。
フランソワ・コンスタンタンは類まれな商才を発揮し、販路をさらに北米や南米にまで拡大しました。
国際的ブランドとなったヴァシュロン・コンスタンタンは、1839年に天才時計師ジョルジュ=オーギュスト・レショーを迎えいれます。
ジョルジュ=オーギュスト・レショーはムーブメントの地板上にブリッジをセンタリングして穴を開ける画期的な機械「パンタグラフ」をはじめ、多くの革命的な時計工作機械を考案しました。ジョルジュ=オーギュスト・レショーの発明によって時計製造の効率と品質が飛躍的に高まったと言われています。
1875年には、フランソワ・コンスタンタンの後を継いだ甥のジャン=フランソワ・コンスタンタンの指揮の下、近代的な設備を持つ新社屋がムーラン河岸1番地に完成。
この建物は当時の姿のまま今も本店ブティック営業と遺産管理室などに使用されており、一度も途切れずジュネーブで時計製作を続けるヴァシュロン・コンスタンタンの歴史を象徴しています。
ジュネーブ・シール取得
スイス ジュネーブ製の時計は、19 世紀から「最高品質と美しさを持つ」と高い評価を得てきました。
ジュネーブ・シールは、1886年にジュネーブ州会議によって定められたもので、 時計製造において伝統的な仕上げ技法を取り入れ、品質や精度を高い水準でクリアしているという公的な品質認証です。 ケース外装から見えない中のムーブメント仕上げにも厳格な基準が設けられており、様々な条件をクリアしたムーブメントにのみジュネーヴ州の紋章が刻印されます。
ジュネーブ・シールの品質基準においては、精度基準に並んで「審美性」も大変重要な要素となります。ムーブメントに対しては下記の12の基準が設けられています。専門的なパーツ用語ばかりですが、どのような内容なのかご参考にご覧ください。
1. (A)キャリバーのすべての構成部品は、追加機能の部品を含め、ジュネーブ時計任意検査局の規準に準拠していなければならない。
(B)スチール部品の縁はポリッシュ仕上げ、側面は長さ方向にヘアライン仕上 げとし、見える面は滑らかに仕上げられていなければならない。ネジ頭部 上面はポリッシュ仕上げ、またはサーキュラーグレイン仕上げとする(円周・溝は面取りを行う)。
2.すべてのムーブメントの輪列、脱進機には、穴内周をポリッシュ仕上げしたルビー穴石を使用しなければならない。
3.ヒゲぜんまいは、頭付で円頚部を持つヒゲ持ちを備えた滑り板により固定されていなければならない。可動ヒゲ持ち受けの使用は許される。
4.レギュレーターにおいて、調整式あるいは切れ目入り緩急針の使用は、保持装置がある場合にのみ許される。ただし超薄型キャリバーについては、 保持装置はなくてもよい。
5.回転半径可変テン輪による調速機構の使用は、規準1.(A)(B)が満たされているなら許される。
6.時回り輪列の歯車は上下面とも面取りを行い、くり形面はポリッシュ仕上げとする。
7.カナ真とカナ歯車の各面はポリッシュ仕上げとする。
8.脱進機において、ガンギ車は軽量でなければならない。
9.脱進機において、アンクルの振れを制限する一対の土手は、造り付けのものでなければならず、ピンや鋲の使用は許されない。
10.ムーブメントは耐震機構を備えていてもよい。
11.巻き上げ機構の角穴車、丸穴車は、登録を受けたモデルに準拠して仕上げなければならない。
12.ワイヤースプリングの使用は許されない。
厳しい条件のすべてをクリアすることが求められるジュネーブ・シールを、ほとんどの機械式時計において取得しているヴァシュロン・コンスタンタンに、ブランドの持つ高い技術力と時計製造における誇りを感じます。
ヴァシュロン・コンスタンタン珠玉のタイムピース
最高峰の技術と美しさを兼ね備えるヴァシュロン・コンスタンタンのタイムピースをご紹介します。
ヒストリーク・アメリカン 1921
1921年発表のオリジナルに忠実なスピリットを備えたアイコニックなモデル。
時刻を斜めに傾けて表示するというインパクトのある独特なダイヤルデザインは、車のハンドルを握っている時や、会食の最中に手首を動かすことなく時刻がスマートに読み取れる実用性を備えています。
1時と2時の間に大胆に配置されたリュウズもスタイリッシュかつ都会的なエレガンスを漂わせています。
ヒストリーク・アメリカン1921
REF:1100S/000G-B734
ホワイトゴールドケース 36.5㎜
手巻き
¥4,312,000(税込)
フィフティーシックス・コンプリートカレンダー
1956年にデザインされた「リファレンス 6073」に敬意を表した「フィフティーシックス」シリーズ。
コンプリートカレンダーは、月、曜日、日付、さらに122年間正確に動作し続ける高精度ムーンフェイズを備えたコンプリケーションウォッチです。
夜光の針とインデックスや、マルタ十字のデザインを取り入れた特徴的なラグ形状、そして視認性の良さも人気の理由。
都会的で洗練されたデザインはデイリーユースしたくなる魅力があります。
フィフティーシックス・コンプリートカレンダー
REF:4000E/000R-B438
ピンクゴールドケース 40㎜
防水:3気圧
パワーリザーブ:40時間
¥5,764,000(税込)
エジェリー・ムーンフェイズ
マザーオブパールの雲の上には、月と星が煌めく夜空が広がり、ダイヤル中央に広がるプリーツモチーフにはまるでオートクチュールを身に纏うようなときめき。
ラウンドカットダイヤモンドがセットされたベゼルと、リュウズに埋め込まれたムーンストーンが格別なエレガンスを現しています。簡単に付け替え可能なインターチェンジャブルストラップが付属しており、コーディネートに合わせて着せ替えを楽しむことができます。
エジェリー・ムーンフェイズ
REF:8005F/000R-B958
ピンクゴールドケース 37mm
自動巻
¥5,148,000(税込)
上記モデルには、付け替え可能な3本のストラップが付属(ダークブラウンミシシッピアリゲーターストラップ、グレーラムスキンストラップ、トープサテンストラップ)。
エジェリーは35mmケース自動巻きや30mmケースクオーツタイプなど、16モデルの展開があります。
1755年から今日まで
何世代にも渡り熟練の職人たちによって探求と革新を重ねてきた技術力、芸術の域にまで高められた妥協の無い美しさ、気の遠くなるような労力と膨大な時間を費やしながら1755年から今日まで、ヴァシュロン・コンスタンタンの類まれな歴史は、世界中の人々を魅了しながらこれからも連綿と受け継がれていくことでしょう。
ヴァシュロン・コンスタンタン コレクション
https://www.kamine.co.jp/watch/vacheron-constantin/
カミネ 旧居留地店
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