KAMINEスタッフブログ

ブレゲ タイプ XX

時計の歴史を200年早めたと言われる創業者アブラアン・ルイ・ブレゲ。

今でも複雑機構として数々のブランドで開発される、永久カレンダー・ミニッツリピータートゥールビヨンなどの革新的な技術を生み出したことで有名です。

機構の開発で知名度の高いブレゲですが、ツールとしてのウォッチのイメージはさほど無い印象ではないでしょうか?

しかしながら現在人気のマリーンシリーズはフランス海軍に納品されていたマリンクロノメーターを源流とするモデルで、今回復刻したタイプXXはまさに航空業界からのつながりから生まれたツールウォッチを源流としています。

タイプ20が生まれた歴史背景を少しご紹介。

アブラアン・ルイ・ブレゲの曾孫ルイ・シャルル・ブレゲは航空家であり、世界初の有人プロペラ機を制作したり、ヘリコプターの初期といわれるジャイロプレーンも発明、航空分野で非常に成功を収めていた一方で、彼の家族が経営するブレゲ社は同じ曾孫であるルイ・アントワーヌ・ブレゲが急逝しアントワーヌの子供たちが家業の継がず、工場長をしていたエドワード・ブラウンに売却、息子のヘンリー・ブラウンに引き継がれる状況になっていました。

ルイ・シャルル・ブレゲ

ヘンリーブラウンはブレゲ家とのつながりをずっと維持しており、
ルイ・シャルル・ブレゲがブレゲ・アビシエーション社を創業、第一次大戦では航空機が戦術的な役割が大きくなり同社がフランス空軍にも大きく貢献する中で、ブレゲ社もフランス空軍に対しコクピット用の時計を提供していました。

コクピット用の時計

1950年代初めフランス空軍が装備品としてパイロットウォッチを探しており、
ブレゲ社がコンペに勝ち、1954年に『タイプ20』が生まれました。
タイプ20は蓄光性の針、大型リューズ、フライバッククロノグラフ機構を搭載し、軍専用品ミリタリーパイロットウォッチとなりました。

軍用タイプ20

その後パイロットの希望から、積算計が15分になるなど改良も加えられました。

軍用タイプ20-2

同タイプのモデルを民間用に販売できる契約でもあったため、民間用のプロフェッショナルパイロットウォッチを『タイプXX』として開発。
6時位置に12時間積算計、両方向回転ベゼルを追加、リューズも薄くスタイリッシュに変更されました。

タイプXX

その後、現代的で人気を博したアエロナバル~タイプXXIへとブレゲパイロットウォッチの系譜となっていきます。

アエロナバル
タイプXXI

今回発表された新作は正にブレゲ初期のパイロットウォッチ、ミリタリーパイロットのタイプ20とプロフェッショナルパイロットのタイプXXが見事に蘇った印象です。

2023年発表の新作 (左)タイプ20(右)タイプXX

搭載される新型ムーブメントは開発に4年を要し、5つの特許を取っています。
ちょうど4年前のONLYWATCHオークションにてタイプ20が出展され、21万スイスフランで落札されました。
そのころに今回の新作の計画が始まったのでしょうね。

(▲ 出典:ブレゲHP-ブレゲ、オンリーウォッチ チャリティーオークションの成功に貢献

新型ムーブメントはコラムホイール式フライバッククロノグラフで垂直クラッチシリコン製の脱進機で10振動、高い精度をキープします。特許の中で注目なのは、リセットを司る機構部分。

従来クロノグラフのリセットボタンはしっかりと押し込まないと、中途半端なリセットになってしまうこともあり、特にフライバックは針飛びしてしまうこともあります。

今回の新機構はリセットボタンを押す力は関係なく、押すことによりバネにエネルギーがたまり毎回一定のバネの力によってハートカムがリセットされる仕組みになっています。
帰零が命のフライバッククロノグラフにはベストの仕組みです。

最新の技術から生み出された新型ムーブメントに歴史背景を具現化したブレゲデザイン原点回帰に進化のエッセンスを盛り込んだ時計を生み出せるのはやはり歴史ある時計ブランドだからこそ。

パリ・ブレゲ ミュージアムで撮影した写真を特別公開!

航空関連の時計製造に於いて ブレゲが草分け的存在であった事が分かります。

パリの航空博物館のかつてブレゲが設計 製作した1900〜1920年位の飛行機の実機
ブレゲミュージアムでのTYPE20の初期モデル
パリ・ブレゲ発表会での実機撮影 タイプ20
パリ・ブレゲ発表会での実機撮影 タイプXX

実機サンプルを店頭にてご覧いただけますので、是非ご来店頂き
ブレゲの歴史に触れてみて下さい!

Breguet(ブレゲ)ウォッチコレクション
https://www.kamine.co.jp/watch/breguet/

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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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