19世紀に考案された機構が現代の最新技術で蘇り、日の目を浴びました。
そのメカニズムを内蔵したタイムピースが入荷しました。
時計の歴史を200年早めたと称される天才時計師「アブラアン=ルイ・ブレゲ」、彼は生涯をかけて数々の発明と発展をもたらしました。
そんな彼をもってしても、実用化がかなわなかった機構があります。
そのひとつが「ナチュラル脱進機」です。
そもそも時計の脱進機とは、時計のテンプに力を与えながら歯車を一定の間隔で回転させる役割を持ちます。
振り子を例に出しますと、振り子を動かしたまま置いておくと、次第に振りは弱くなり止まってしまうのが想像できるかと思います。
脱進機は振り子が止まらないように一定の力を与えつつ、常に一定の間隔で振るように調整するための仕組みで、脱進機の働きにより時計の精度が保たれます。
脱進機は、時計の発展とともに様々な仕組みが考案されてきましたが、その中の一つが今回紹介する「ナチュラル脱進機」です。
ナチュラル脱進機は、アンクルを持たずに2枚のガンギ車がテンプに直接トルクを与えます。
一般的なアンクルの動作によるスイスレバー脱進機に比べて、ナチュラル脱進機は摩擦を抑えることができ、効率よく動力を伝達できます。
こちらはスイスレバー脱進機。
香箱からいくつかの歯車を介して伝わった動力をガンギ車とアンクルによって一定の力と間隔でテンプに伝えます。
このとき、ガンギ車とアンクルとの間に大きな摩擦が発生してしまいます。
28,800振動/時で動くムーブメントのガンギ車とアンクルの先のツメ石とが1秒に8回接触。
1年間にするとおよそ2億回以上にものぼり、一般的な機械式時計に油が必要なのはこれが理由なのです。
ナチュラル脱進機は先も述べたように、2つのガンギ車がテンプに直接トルクを与えることにより、アンクルを介することなく動力を伝えることで、エネルギー伝達のロスを防ぎ、摩擦を抑えることができます。
油の必要性も最小で済むため、オーバーホールの頻度を減らすことができ、正に現代のSDGs・エコロジーの思想にも合致するのではないでしょうか。
非常に高い部品加工精度と最新の素材を使うことで製造されるナチュラル脱進機。
考案したブレゲ自身、ナチュラル脱進機の実用化のためにあらゆる手法を講じましたが、当時の加工技術・素材では実用に耐えうることはできませんでした。
ついに完成できなかったのです。
現在でも、ナチュラル脱進機を採用できるブランドは非常に限られており、『ローラン・フェリエ』『F・P・ジュルヌ』『ヴティライネン』の3ブランドと言われています。
2世紀の時を超え、実用化が可能となったナチュラル脱進機。
エスパス ド カミネではローラン・フェリエのナチュラル脱進機搭載モデル、クラシック・マイクロローター アイスブルーを展示中です。
クラシックな要素とスポーティな要素が上手くブレンドされたユニークなデザイン。
細く長い針とインデックスはTheクラシックウォッチ。
サンバースト仕上げにホワイトプリントで表現されるセクターダイアルは、スポーティかつヴィンテージ感も有します。
独自性を極めたムーブメントに、様々な要素を兼ね備えたデザインは高額な価格も納得できるのではないでしょうか。
クラシック・マイクロローター アイスブルー
ケース素材:ホワイトゴールド
針・インデックス素材:ホワイトゴールド
ケース径:40mm
ケース厚:11.1mm
防水性:3気圧防水
パワーリザーブ:72時間
価格:11,825,000円(税込)
(生産数 僅少)
https://www.kamine.co.jp/item/35595/
世界で初めて製作・採用されたローラン・フェリエのブランドコーナーにぜひお越しください。
【お問い合わせ先】
エスパス ド カミネ
兵庫県神戸市中央区播磨町46 ニッケ播磨町ビル
営業時間 10時30分~19時30分(水曜定休)
TEL 078-325-3600
LAURENT FERRIER – ローラン・フェリエ ウォッチコレクション
https://www.kamine.co.jp/watch/laurent-ferrier/