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ローラン・フェリエ 2024年 新作クラシックムーンを徹底解説

 Watches&Wonders 2024にてローラン・フェリエの新作クラシックムーンが発表されました。まだ国内でもほとんど出回っていない稀少なタイムピースです。価格は1000万円を超え、同ブランドの中でもハイエンドなモデルとなっていますが、今回はそこに込められたローラン・フェリエのこだわりと魅力を解説していきます。

① ローラン・フェリエ初のムーンフェイズ機構
② 業界でも稀有な程にこだわり抜かれたムーンフェイズ
③ 言葉では説明しきれない超絶妙なデザインのバランス感覚

① ローラン・フェリエ初のムーンフェイズ
 創業者ローラン・フェリエはパテック フィリップを出自としていることもあり、コレクションを見てもクラシックな時計作りを得意としていることが分かると思います。そんなローラン・フェリエが作る待望のムーンフェイズウォッチが今作です。今回の機構はアニュアルカレンダームーンフェイズというコンプリケーションです。「使いやすさ」を一つのブランド哲学としていることもあり、非常にシンプルな3針の時計が多いブランドです。後にも先にも今回のようなコンプリケーションを搭載したモデルは多くはないでしょう。同ブランドのコレクションの中でも稀少性が高く、新鮮さを感じられる新作です。

② 業界でも稀有な程にこだわり抜かれたムーンフェイズ
 今作のムーンフェイズディスクは0.45mmにスライスしたアベンチュリンガラスに0.25mmの深さで月と星、さらにはクレーター部分まで繊細な彫り込みを行っています。この極めて繊細な作業を実現するために、ヨーロッパでも非常に優れたガラス加工技術を持つとされるムラーノ島の職人に作業を依頼しています。ムラーノ島は古くからガラス製品の製造が盛んで、ガラス製法が地方に流出することを防ぐためにこの島にガラス職人を住まわせたという歴史があります。そのためこの地域にはガラス製造において古くからの歴史と技術、そして文化が蓄えられているのです。

 そんな伝統工芸の職人によって製作されたディスクの上には、厚み0.145mmの極薄のペトロールブルーのグランフーエナメルを用いたムーンフェイズカバーが乗っています。
 通常、多くみられるグランフーエナメルは金属の板を下地としており、クラシックムーンのムーンフェイズカバーのエナメルのような透明感はありません。今作ではムラーノ島の職人が彫った月と星を見せるため、その芸術性を高めるために下地を使わずステンドグラスのように透明なエナメルを実現しています。この透明感は金属の下地を使わない特殊な技法によって作られた世界最薄レベルのエナメルによって実現しています。

 また下地を使わない技法として「プリカジュールエナメル」というものがあります。これも非常に手間と技術が要される技法と言われていますが、金属枠の中でエナメルを焼成しているという点が今作とは異なります。今作のエナメルは金属枠も存在していない独自の製法を用いています。是非、プリカジュールエナメルの画像を検索して見比べてみてください。プリカジュールエナメルも非常に美しい見た目をしていますが、今作のデザインにおいては金属枠の無い独自の製法でなければ成り立たなかったと思います。

③ 言葉では説明しきれない超絶妙なデザインのバランス感覚
 ローラン・フェリエの時計は「使いやすさ」を一つのデザイン哲学としています。アニュアルカレンダームーンフェイズというコンプリケーションとブランドが掲げる「使いやすさ」を両立するために、非常に絶妙なバランス感覚によってデザインされています。
 アニュアルカレンダームーンフェイズとなれば、ダイヤル上の表示は混み合ってくるのが常ですが、ローラン・フェリエの時計では非常に綺麗にまとめられています。その要因として挙げられるのは下記の点です。

☆12時3時9時のみローマ数字としたことによるクロスラインの協調
☆シンメトリーデザインである点
☆ポインターデイトを採用した点
☆それぞれ明確に異なる形状の針
☆全体的に構成している図形デザインが円形で統一されている。
☆視認性の高い配色

 私が気づくだけでもこれだけありますから、実直にユーザーベネフィットを考慮したものづくりをしていることが分かります。ここまで実用性を考慮に入れながら、時計としての芸術性や抜群のセンスを発揮できるのはブランドの極めて優れたバランス感覚によるものです。
 バランス感覚やセンスについての解説は言語化が難しい部分ですが、だからこそ小手先では会得できないブランドの大きな強みだと言えます。超一級品の時計技術と言葉では説明できない魅力、価値を持つ類まれなブランドであることを今作でも示していると感じました。

 新作クラシックムーンは現在、国内でもまだほとんど出回っていない状況だと思いますが、エスパス ドカミネではこの「クラシックムーン ブルー」をいちはやく入荷し、ご案内できる準備を整えております。

皆様のご来店、心よりお待ちしております。

手巻き(cal. LF126.02)25石。2万1600振動/時、パワーリザーブ約80時間
アニュアルカレンダー、ムーンフェイズ、時・分・秒(スモールセコンド)
(直径40mm、厚さ12.9mm)3気圧防水
(左)SSケース
¥13,090,000(税込)[ピン]/¥13,365,000(税込)[フォールディング]
(右)RGケース
¥14,960,000(税込)[ピン]/¥15,510,000(税込)[フォールディング]

【お問い合わせ先】
エスパス ド カミネ
兵庫県神戸市中央区播磨町46 ニッケ播磨町ビル
営業時間 10時30分~19時30分(水曜定休)
TEL 078-325-3600

LAURENT FERRIER – ローラン・フェリエ ウォッチコレクション
https://www.kamine.co.jp/watch/laurent-ferrier/

※ブログ内に記載の価格は、記事公開時のものであり、
今後変更する可能性がございますので予めご了承ください。

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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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