1775年に創業したブレゲは、2025年に創業250周年を迎えます。
時計ブランドの中でも、非常に長い歴史を誇るブランドのひとつです。
ブレゲはその生涯の中で、数々の機構やデザインの発明を成し遂げました。
トゥールビヨンや永久カレンダー、ブレゲ針やブレゲ数字などがその代表的な発明です。
記念すべきアニバーサリーイヤーを迎えた2025年。
今年は何回かにわたって、ブレゲの歴史や発明について紹介していきます。
まず初回は、「ブレゲ その人」について深掘りしていきましょう!
~ブレゲの生涯~
ブレゲの創業者「アブラアン=ルイ・ブレゲ」は1747年、スイスのヌーシャテルに生まれました。
フランスで創業しましたが、生まれはスイスだったんですね。
ブレゲの家系は、牧師や学校の教師、弁護士などを多く輩出した、いわゆるブルジョア階級。名家の出と言っても過言ではありません。
ブレゲの父親は、ヌーシャテルで商人として繁栄し、その後1752年頃からフランス国境近くのレ・ヴェリエールで旅館を経営していました。レ・ヴェリエールは、パリに向かう旅行者が必ず立ち寄る場所で、旅の話やパリの芸術の話は、少年ブレゲの知性を刺激し、外の世界への興味を深めるきっかけとなったと言われています。
比較的恵まれた環境にあったブレゲですが、1758年、父親の死によって状況が一変します。残されたのは、妊娠中の母親と11歳の少年ブレゲ、そして8歳、5歳、2歳の3人の妹たちでした。
母親は子供たちを心配し、時計師のジョセフ・タッテと再婚します。
そう、ここからブレゲが時計を学び始めるのです!
時計を学び始めたブレゲは、すぐにその才能を見出され、15歳の時にはヴェルサイユの時計職人に年季奉公に出されます。
当時のヴェルサイユは、芸術や科学の中心地であり、ルイ15世から多くの支援を受けていました。
特に時計は王家の結婚式や外交官のレセプションなどで重宝されており、マリー・アントワネットの婚礼では、なんと51個もの時計が来賓に贈られたそうです。
ヴェルサイユの時計職人はブレゲの才能を早くも見抜き、奉公からわずか2年後には親方から「より高度な技術を教える師匠と論理を教える教師をすぐに見つけたほうが良い」と言われるほどでした。
時計を学び始めて数年でこの評価を受けるなんて、やはりブレゲは天才時計師だったのでしょう。
1775年に独立するまでの約10年間、ブレゲは数人の師から多くを学びました。
彼の成長には、この出会った師たちが大きな影響を与えました。
ひとりめの師:マザラン学校の数学教授「ジョゼフ=フランソワ・マリー神父」
マリー神父は、ブレゲに数学をはじめ、物理学、光学、天文学、そして機械工学を教えました。
これらの知識が、ブレゲの数々の発明の基礎となったのです。
彼はブレゲに学問を教えるだけでなく、ブレゲをパリの社交界に紹介し、
フランス王室や貴族たちとのつながりを作る手助けもしたのです。
これらが後のブレゲの成功にどれほど影響したか、想像するだけでワクワクしますね!
ふたりめの師:「フェルディナント・ベルトゥ」
次に、ブレゲが学んだのは「フェルディナント・ベルトゥ」。
ベルトゥはマリン・クロノメーターの製作で名高い時計師で、
26歳の若さでフランス王立科学アカデミーより“マスタークロックメーカー”の称号を授かるほどの高い技術をもっていました。
ブレゲはベルトゥの工房で働き、マリン・クロノメーターの製作を通じて彼から多くの技を学びました。
2015年にフェルディナントベルトゥのブランドが復活したことも話題になりましたね。
現代の「フェルディナント・ベルトゥ」ブランドも、ハンドメイドで素晴らしい時計を製作しています。
また機会を改めてご紹介させていただきますね!
さんにんめの師:「ジャン=アントワーヌ・レピーヌ」
そして、ブレゲが次に学んだのは、パリで大きな影響力を持っていた時計師、「ジャン=アントワーヌ・レピーヌ」です。
レピーヌは、現代の機械式時計ムーブメントの基本構造を考案し、時計の薄型化に大きな貢献をした人物です。
具体的には、2枚のプレートに柱を立てて歯車を挟む方式から、現代のようにベースプレートに受けとブリッジで歯車を挟む方式を導入。これにより、非常に薄い時計が作れるようになりました。時計の構造を変え、より美しい時計が生まれたのです。
2枚の間のプレートにより歯車を固定、テンプは別軸に配置されるため分厚くなる
現代のように、プレートと受けとブリッジで歯車を固定。テンプも同軸に配置され薄型に。
1775年は、ブレゲにとって運命の年。
彼が28歳になったこの年、ブレゲはついに自分の時計工房を開き、同時に結婚もしました。
実は当時、職人たちが工房を立ち上げる際、新妻の持参金を元手にしていたんですね。
これも当時の文化を知るうえで興味深いエピソードです。
ブレゲは、パリのセーヌ川の中州にあるシテ島の一角にある建物最上階の屋根裏を借り、時計師としての道を歩み始めます。
この建物はケ・ド・ロルロージュ39番地として現在も残っており、
パリに訪れた際にはぜひ一度立ち寄りたい場所です。
長くなりましたが、第一回はここまで!
次回は、いよいよブレゲが工房を立ち上げたところから物語が始まります。
どんなドラマが待っているのか、楽しみにしていてくださいね!
ブレゲ正規取扱店
エスパス ド カミネ
lespace@kamine.co.jp
神戸市中央区播磨町46 ニッケ播磨町ビル
(カミネ 旧居留地店の南すぐ)
078-325-3600
営業時間:10:30~19:30(水曜定休)
Breguet – ブレゲ ウォッチコレクション
https://www.kamine.co.jp/watch/breguet/